令和8年度 理論政策更新研修が開催されました
令和8年8月29日(土)、キオクシアアイーナにおいて一般社団法人岩手県中小企業診断士協会主催「令和8年度 理論政策更新研修」を開催しました。当日は、県内外から多数の中小企業診断士の皆様のご参加を賜り、千葉一郎会長による開会挨拶の後、労働供給制約社会における中小企業施策、経営資源の引継ぎに着目した事業承継支援、および成果にコミットする実践的伴走支援のあり方について、専門家による講習が行われました。
研修1. 『新しい中小企業政策について』
東北経済産業局 産業部 経営支援課 課長 秋元 一孝 様

東北経済産業局の秋元一孝課長からは、構造的な人手不足が深刻化する「労働供給制約社会」における最新の政策方向性が示されました。特に、デフレ・ゼロ金利環境からインフレ・金利のある時代への移行期においては、現状維持ではなく、設備投資やデジタル技術(AX)を活用した「稼ぐ力」の向上が重要であると説明されました。また、下請取引における適正な価格転嫁の推進、および2026年1月に施行された中小受託取引適正化法の着実な執行について触れ、サプライチェーン全体での適正化が求められていることが強調されました。
研修2. 『中小企業の事業承継 事業承継・M&A/PMI支援の勘所』
株式会社 TK経営総合研究所 代表取締役 高岸 浩文 様

株式会社TK経営総合研究所の高岸浩文氏は、事業承継やM&A、および成約後のPMI(経営統合プロセス)支援の要点を解説しました。企業そのものを丸ごと引き継ぐ必要はなく、価値あるノウハウ、技術、顧客関係といった「経営資源の引継ぎ」に着目すべきであるとの提言を頂きました。また、親族内承継のみならず、第三者承継(M&A)も含めた柔軟な選択肢の重要性を、事例を交えて説明。特に承継を単なる法的手続きではなく、経営者の「人生相談」と捉え、経営者や従業員の感情面に配慮することが真の成果につながるというポイントが示されました。
研修3. 『宮城よろず支援拠点による実践的伴走支援の仕組みと事例』
宮城県よろず支援拠点チーフコーディネーター 佐藤 創 様

宮城県よろず支援拠点チーフコーディネーターの佐藤創氏は、成果創出に向けた具体的な伴走支援スキームを広く全国に共有されました。単なる雑談や一問一答の相談を排し、事業者と目指すべき成果を事前に定義・合意した上で支援を進める「プロジェクト型チーム支援」を解説。「対話と傾聴」を通じて事業者自らが気づいていない「真の課題」を設定し、事業者自らが腹落ちして納得するゴールを設定して、期限を区切って、コンシェルジュ(ゼネラリスト)と分野別スペシャリストがチームを組んで支援をすすめることの重要性を解説しました。岩手よろず支援拠点等との連携事例も交え、地域を超えた一貫支援の有効性が紹介されました。
今回の更新研修会を通じて、構造的な環境変化に直面する中小企業に対し、我々中小企業診断士が果たすべき多角的な役割が紹介、解説されました。最新政策への深い理解に基づく価格転嫁や成長投資への支援、個々の企業の特性に即した「部分的な承継」を含む柔軟な事業支援、そして事業者と成果目標を共有する客観的な伴走支援は、いずれも極めて重要です。
本研修で得た専門的知見や実践手法を会員が日々の診断活動へと還元し、岩手県の地域経済の持続的な発展に資することが期待されます旨、菅原和則副会長の挨拶をもって閉会しました。